段落って、分けないとダメですか?
「起承転結」とか「序論・本論・結論」とか「賛成反対から書け」とか、いろんな構成を教えられて混乱します
段落分けのルールを知らない受験生は多いですよね。
でも大丈夫!
この記事を読むと、「段落分けの正解」がわかります。
段落は「内容のまとまり」を視覚化したもの
段落というのは、内容のまとまりごとに文章をブロック化したものです。
- 最初の1マスをあける。
- 最後に改行する。
これによって「ここからここまで、一つの内容のまとまりですよ」というのをパッと見てわかるようにしているわけです。
LINEやブログでは
1行書いたら
改行することが多いですよね
その方が
軽くて見やすいからです
でも小論文ではむやみに改行しません。変なところで改行すると、「あれ? ここから違う話なの? 同じ話の続き?」と読み手が混乱してしまうからです。
じゃあ、段落はいくつに分けるのが正しいんですか?
どんなテーマにも使える段落構成はこれ!
3段落構成×2パターンを覚えれば無敵
入試の小論文に最適な段落の数は「3段落」。
2つでも4つでもなく「3段落」と覚えておいてください。
そして出題されるテーマによって、2つのパターンを使い分けましょう。
なぜパターンが2つあるかというと、小論文で出題されるテーマは大きく2つに分類できるからです。
- 賛成/反対に世論が割れるテーマ
(例:消費税率を上げるべきかどうか、原発を再稼働させるべきかどうか)
- 誰が見ても問題であるテーマ
(例:自然災害が増えている、高齢者の誤操作による自動車事故が増えている)
たとえば「原発を再稼働させるべきかどうか」で世論が賛成と反対に割れるのは、原発にメリットもデメリットもあるからです。賛成派と反対派、どちらの言い分にも一理あり、どちらを取っても何か問題が残ります。
ならば、双方の言い分に公平に耳を傾け、どちらも納得するような(Win-Winな)解決策を提案するべきですよね。
①メリット(賛成意見):石油や天然ガスを使わず、二酸化炭素を出さない。
②デメリット(反対意見):事故が起きたとき大変なことになる。
③解決策:安全対策を強化し、国民の納得を得た上で再稼働する。(or 原発には頼らず、自然エネルギーの割合を増やす)
一方、「高齢者の誤操作による自動車事故が増えている」に「賛成!事故にもメリットがある」という人はいませんよね。これは誰が見ても解決すべき問題です。
こういうときはメリットは不要です。その代わり、原因分析に1段落使いましょう。
①問題提起(どう問題なのか):死亡事故につながる。しかも高齢ドライバーは年々増える。
②原因:ペダルのミスで不必要にスピードとパワーが出るから。
③解決策:軽量、低速、低パワーの高齢者向けミニカー。
トヨタの超小型BEV「コムス」がこれに近いですね。ノロノロ走っていれば大きな事故にはなりません。
ディベート、ディスカッションと同じ
これは集団討論のディベートとディスカッションの違いに似ています。
- ディベート=賛成と反対に分かれて意見を戦わせること。
- ディスカッション=立場を分けずみんなで意見を出し合うこと。
小論文も集団討論も「問題を解決すること」という点では同じです。ならば小論文の段落構成もディベート型とディスカッション型の2種類になるのは当然なわけです。
ところで、よく聞く「序論・本論・結論」とか「最初にイエス/ノー」とかの段落構成ってどうなんですか?
「序論・本論・結論」「最初にイエス・ノー」の真相
「序論・本論・結論」は用語だけ知っていても使えない
よく「小論文は序論・本論・結論の構成で書きましょう」と教えられます。
序論:これから書く内容を簡潔に紹介
本論:序論で示したことを詳しく説明
結論:本論の内容を手短にまとめる
でも、ぶっちゃけこれで書けるようにはならないんですね。
書けたとしても、こんな風にならないでしょうか?
「あれ? なんか同じことを3回くり返し書いてる?」
あー、それ・・・経験ありますww
序論と結論が同じになっちゃうんですよ
短く述べたことを詳しく説明して、また短くまとめたら・・・そりゃ同じ内容のくり返しになってしまいますよね。
序論=問題提起
本論=原因
結論=解決策
せめてこのように理解していればよかったんですが。
「序論」とか「本論」とかは、あくまでも「箱」。箱の中身を理解しておかないと、空っぽの文章になってしまいます。
「最初にイエス/ノー」が求められるのは入試問題の25%だけ
冒頭で「私は◯◯に賛成である/反対である」と書くのは、設問に「賛成か反対か、あなたの立場を明らかにした上で意見を述べよ」という条件がついている場合のみ。しかもこういう出題はあまり多くありません。
そもそも小論文には「賛成/反対に分かれるテーマ」と「誰が見ても問題であるテーマ」があります。入試全体では半分半分です。
全体の50%である「賛成/反対に分かれるテーマ」のうち、「あなたの立場を表明した上で」という条件がつくものは、さらに半分以下。
つまり「最初にイエス/ノー」で正しく書ける出題は25%しかないんです。
それ以外の75%の出題で「私は反対だ」から書き始めたら、「一方的で偏った議論をする人」とみなされてしまいそうですね!
まとめ
- 賛成/反対に世論が分かれるテーマでは「メリット→デメリット→解決策」
- 誰が見ても問題であるテーマでは「問題提起→原因→解決策」
- 「序論・本論・結論」は同じことを3回書いてしまうので注意
- 「最初にイエス・ノー」は「立場を明らかにした上で」という条件がある場合のみ
段落を正しく分けて書くことで、考えが途中でブレることも防げそうですね。
「いつでも◯◯から書く」ではなく、テーマや設問に合わせて段落構成を使い分けることが大事なんですね
代々木ゼミナール講師時代、小論文を「文章表現ではなく問題解決の科目」と再定義することで合格率を倍増。総合型選抜・学校推薦型選抜の個別指導では早慶医学部を含む第一志望合格率が9割を超える。1万5千本以上の添削指導を通して受験生の「書けない心理、伝わらない原因」を知り尽くす。
そのノウハウをまとめた参考書「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」(KADOKAWA)はシリーズ25万部超のベストセラーとなる。またNHK Eテレ「テストの花道」出演、朝日小学生新聞・朝日中高生新聞の連載などメディアでも活躍。
現在は文章スキルと問題解決の講師として大手企業の社員研修に数多く登壇。受験のみならずビジネスでも通用するメソッドであることを証明している。
東北大学大学院文学研究科修了。合同会社ロジカルライティング研究室代表。
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