志望理由って、どう書けばいいのかよくわからない・・・

一人ひとり違うので、「模範解答」ってないじゃないですか?

たしかに。ある程度「正解」がある小論文と違い(はっきり正解がある数学とはもっと違い)、志望理由書というのは一人ひとり違うはずなので「模範解答」を真似るわけにはいきませんよね。

でも、やっぱり「お手本」を見た方が早く上達します。

ついでに「ダメな例」も知っておくと理解が深まります。

というわけで、今回は志望理由書の【ガッカリ答案】と【スッキリ答案】を見比べながら、正しい志望理由書の書き方を学びましょう!

【問題】志望理由を書きなさい。(看護学部の場合)

パンフレットを写すのはNG

まずはこちらの志望理由から。

【ガッカリ答案1】
 私が看護師を目指すのは、「これからの女性は手に職をつけておきなさい」と母に教えられたからです。女手一つで私を育ててくれた母は、女性が経済的に自立することの大切さと大変さを身にしみて知っている人です。そんな母の背中を見ながら、私も将来はしっかりとした職業に就いて自立した大人になりたいと考えるようになりました。
 貴校を選んだのは、建学の精神である「キリスト教精神に基づく人格教育」という理念に大変共感したからです。また緑豊かなキャンパスや免震構造の校舎など学内の雰囲気も私に合っていると感じました。以上より、私は貴校の看護学部を志望します。

なんか、立派なこと書いてあって「いい例」のようにも見えますけど?
将来の夢も「看護師」とはっきり書いてありますし

前半の「経済的に自立する」という話、これだと看護師である必要がありません。教師や警察官、銀行員でもいいはずです。大学を卒業したら何かの仕事に就いて経済的に自立するというのはどの学部も同じ。その中で「看護師」を選ぶ理由が必要です。

それから後半、自分が看護師になるために「キリスト教精神」や「緑豊かなキャンパス」が重要であるという説明があるならいいんですが・・・ぶっちゃけパンフレットに書いてあったことを写したでしょ?

うちの担任、クラスのみんなの志望理由書をパンフ見ながら書いてくれますww

パンフレットを写したくなるのは「なぜこの大学を選んだのか?」に答えなきゃと思ってしまうからですね。でも、大学が知りたいのは「うちの大学はどこがいいのか」ではありません。「なぜあなたがこの大学に来るべきなのか」に答えることです。

思い出話も必要ない

【ガッカリ答案2】
 中学校3年生のとき、部活の練習中に怪我をしたことがありました。病院に運ばれましたが、骨折していて夏の大会には出場できなくなりました。バスケットを諦めなければならないショックとリハビリの辛さで落ち込んでいた私を励ましてくれたのが看護師さんでした。その経験から、私も看護師になって患者さんを励ましたいと思うようになりました。
 そして高校2年生のとき、最愛の祖母をガンで亡くしました。治療中、付き添いで何度も病院に足を運んでいるうちに医療というものをさらに身近に感じるようになり、自分の生きる道であると決心しました。

これはいいんじゃないですか? 自分のこと書いてるし、おばあさんの話なんて泣けるじゃないですか

そうそう、僕も部活で怪我したとき、看護師さんが白衣の天使に見えたなあ

エッセイとしては、しみじみ読めるいい文章かもしれません。でも・・・

「看護師さんが励ましてくれたから自分も看護師に」という理屈なら、もし励ましてくれたのがラーメン屋のおじさんだったら自分もラーメン屋を目指すことになります。

励ましてもらったことが心に強く残っているから「励ましてくれた」と書いたんでしょうが、本当は医療的なケアの面でも看護師さんの仕事に対し思うところがあったんじゃないでしょうか? 怪我の状態を冷静に判断して処置してくれたとか、医学的な根拠に基づいてアドバイスをしてくれたとか。

後半のおばあさんの話も、「足を運んでいるうちに」なんとなくではなく、病気のおばあさんの世話をして看取るまでのあいだに考えたことがあるんじゃないでしょうか? 医療制度について、高齢者の置かれた立場について、病人の世話をする家族の精神的苦労や経済的負担について。

「出来事そのもの」ではなく、その出来事を通して「医療について考えたこと」を書きましょう。ここで差がつきます。

そう言われると「考えたこと、あったあった」って思い出すんですけど、普段は忘れちゃってるんですよね

「〇〇になりたい」ではなく「こんな〇〇になりたい」

【スッキリ答案】
 私は将来、訪問看護師として地域医療に携わりたいと考えています。△△県は高齢化と過疎化が進み、病院に通うことが困難な高齢者が年々増えています。また生活習慣病などは患者の生活環境を知らなければ適切なケアができません。そこで必要とされるのが、日常生活の中で患者と接することのできる訪問看護師です。
 オープンキャンパスでのN本S子先生の講演で「認知症患者の行動にもその人なりの理由がある」というお話に興味を持ち、パーソンセンタードケアの本を読みました。入学後は医療の知識のみならず心理学も学び、相手の気持ちを理解できる看護師を目指します。

だたの「看護師」じゃなくて「訪問看護師」まで絞るんですね!
具体的なので「本気で考えている」って感じがします

オープンキャンパスの話も「行ってきた」ではなく「そのあと本を読んだ」という後日談になっていますね

「訪問看護師」まで具体的に絞ると、「この仕事がいまなぜ必要なのか」という説明ができます。「看護師」や「医療従事者」のように漠然としていると、この社会的意義が書きにくいんですよね。

「◯◯になりたい」という憧れだけの人と「◯◯になって△△に貢献したい」と大義名分まで述べる人、本気度を感じるのは後者です。

後半のオープンキャンパスの話も同様。本気の人は行動をしているはず。「読んでみた、調べてみた、やってみた」という行動を書くことで、あなたの本気をアピールしましょう!

行動や後日談を書くとなると、時間の余裕が必要ですね
志望理由書の準備には早めに取りかかれって、そういう意味だったんですね!

まとめ

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