段落って、分けないとダメですか?

「起承転結」とか「序論・本論・結論」とか「賛成反対から書け」とか「結論から書け」とか、いろんな構成を教えられて混乱します

段落分けのルールを知らない受験生は多いですよね。

でも大丈夫!

この記事を読むと、「段落分けの正解」がわかります。

自己紹介

鈴木鋭智(スズキ エイチ)。「小論文のオキテ55」という参考書の著者です。朝日中高生新聞では「書ける×受かる!小論文」を連載中。このブログではゼロから始める高校生・受験生のために、小論文の書き方を超基本からお伝えします。

段落は「内容のまとまり」を示すサイン

段落というのは、内容のまとまりごとに文章をブロック化したものです。

  1. 最初の1マスをあける。
  2. 最後に改行する。

これによって「ここからここまで、一つの内容のまとまりですよ」というのをパッと見てわかるようにしているわけです。

LINEやブログは

1行書いたら

改行することが多いですよね。

その方が

軽くて読みやすいからです。

でも小論文ではむやみに改行しません。変なところで改行すると、「あれ? ここから違う話なの? 同じ話の続き?」と読み手が混乱してしまうからです。

じゃあ、段落はいくつに分けるのが正しいんですか?

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どんな出題にも応用できる段落構成はこれ!

3段落構成×2パターンを覚えれば無敵

600字〜1,000字の小論文に最適な段落の数は、2つでも4つでもなく「3段落」

もっとも、大事なのは「何個に分けるか」ではなく「それぞれの段落に何を書くか」です。

小論文の3段落構成には2つのパターンがあります。

  • ①問題提起 → ②原因 → ③解決策
  • ①メリット → ②デメリット → ③解決策

※ここで「解決策って何?」と思った方はこちらの記事を先に読んでください。

大学入試の小論文ではこの2つのパターンを覚えておけばOK。どんな問題にも対応できます。

文字通り「どんな問題にも」です。

なんか自信満々にドヤ顔で語ってますけど、どうしてたった2つのパターンで「どんな問題にも対応できる」と言い切れるんですか?

すべての出題テーマは2種類に分けられる

なぜ段落構成に2つのパターンがあるのかというと、小論文で出題されるテーマが2種類に分類できるからです。

  • 「賛成/反対に世論が分かれるテーマ」
  • 「誰が見ても問題であるテーマ」

たとえば「消費税率を上げるかどうか」「原発を再稼働させるかどうか」というテーマは世論が賛成と反対に分かれますよね。増税にも原発にもメリットとデメリットがあるからです。
こういう場合は「①メリット → ②デメリット → ③解決策」の3段落構成が向いています。

これに対し「オレオレ詐欺が増えている」に「賛成。詐欺にもメリットがある」なんて言う人はいませんよね。これは誰が見ても大問題といえます。
この場合は「①問題提起→②原因→③解決策」という3段落構成にしましょう。

ディベート、ディスカッションと同じ

これは集団討論のディベートとディスカッションの違いに似ています。

  • ディベート=賛成と反対に分かれて意見を戦わせること。
  • ディスカッション=立場を分けずみんなで意見を出し合うこと。

小論文も集団討論も「問題を解決すること」という点では同じです。ならば小論文の段落構成もディベート型とディスカッション型の2種類になるのは当然なわけです。

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1:「誰が見ても問題であるテーマ」の段落構成

たとえば「都市部の交通機関の混雑について」というテーマの場合、以下のような段落構成にするといいですね。


①問題提起:満員電車はストレスになるし、痴漢などの被害も起きやすい。
②原因:朝の時間帯に混雑するのはみんなが同じ時間に出勤するからだ。
③解決策:フレックスタイム、時差出勤などの制度で通勤時間を分散させよう。

3つの段落を同じくらいの字数で書くのがポイントです。それぞれの段落には大事な役割があって、どれも重要だからです。

採点する立場からも、パッと見て3段落が均等になっている文章は「ちゃんと構成を考えて書いてあるな」と思いますし、実際読んでみると内容もしっかりしていることが多いですね。

段落ごとに長さがまちまちな答案は、見ただけで「行きあたりばったりの思いつきで書いたな」というのがバレバレです。

2:「賛成/反対に世論が分かれるテーマ」の段落構成

たとえば「小学校の教科書をすべてデジタル化する案について」というテーマの場合、賛成する人と反対する人がいそうです。教科書のデジタル化(タブレット化)にはメリットもデメリットもあるからです。

こういうときは「①メリット → ②デメリット → ③解決策」ですね。

ただしこの場合、設問に「賛成か反対か、あなたの立場を表明した上で」という条件がある場合と、条件がない場合があります。

まずは基本形、「あなたの立場を」という条件がない場合の書き方から。

2-1:「あなたの立場を表明した上で」という条件がない場合

「あなたの立場」を求められていないときは、「私は賛成だ」「反対だ』と書く必要はありません。

①メリット(賛成意見):教科書を紙からデジタルにするメリットは、ランドセルが軽くなることだ。
②デメリット(反対意見):しかし、子どもは物の扱いが乱暴なのでタブレットをよく壊す。
③解決策:したがって、丈夫で壊れにくい子ども用タブレットにするべきだ。

これも3つの段落を同じくらいの字数で書きましょう。

立場の表明を求めないということは、出題者のねらいは「賛成意見にも反対意見にも公平に耳を傾ける人かどうか」にあるからです。

メリットとデメリットを同じ字数で書くことで、「一方に偏らず、中立な立場で考えていますよ」というアピールになるんですね。

2-2:「あなたの立場を表明した上で」という条件がある場合

次に、「賛成か反対か、あなたの立場を表明した上で意見を述べなさい」という条件がついている場合の書き方。

このようなときは、1段落目の冒頭で「私は○○に賛成である」または「○○は推進するべきである」のように自分の立場から書き始めましょう。

2-2-1:「賛成意見」の書き方

もし「賛成」するなら、段落構成は上の「①メリット → ②デメリット → ③解決策」と同じです。メリットの冒頭で「私は◯◯に賛成である」という立場表明をしましょう。

①自分の立場とその理由(=メリット):私は教科書のデジタル化に賛成する。その理由は紙の教科書が多いとランドセルが重くなり、子どもの健康を害する恐れがあるからである。
②自分の立場の問題点(=デメリット):しかし小学生はデジタル端末の扱いに不慣れな子どもも多く、学校で支給されたタブレットを壊してしまうことも多い。
③解決策:したがって、教科書をデジタル化するなら大人と同じような端末を配るのではなく、落としても踏んでも壊れないような子ども用端末にすべきである。

2-2-2:「反対意見」の書き方

ちょっと工夫が必要なのは「反対」する場合です。自分の立場(反対)を先に書くので、「①デメリット → ②メリット → ③解決策」の順番になりますね。

①自分の立場とその理由(=反対意見、デメリット):私は教科書のデジタル化に反対する。小学生は物の扱いが乱暴なので、タブレットを壊してしまい授業に支障が出ることが多いと予想されるからである。
②逆の立場(=賛成意見、メリット):しかし紙の教科書だとランドセルが重くなるため、子どもの発育を害する恐れがある。
③解決策:教科書は紙のままにして、持ち歩かなくてもいいように学校の置き勉用と家庭用の2冊ずつ用意するべきだ。

「賛成」の場合も「反対」の場合も、1段落目と2段落目を逆の視点で書くというのがポイントなんですね。
ところで、よく聞く「序論・本論・結論」とか「最初にイエス/ノー」とかの段落構成ってどうなんですか?

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「序論・本論・結論」「最初に◯◯」の真相

「序論・本論・結論」は用語だけ知っていても使えない

よく「小論文は序論・本論・結論の構成で書きましょう」と教えられます。

序論:これから書く内容を簡潔に紹介
本論:序論で示したことを詳しく説明
結論:本論の内容を手短にまとめる

でも、ぶっちゃけこれで書けるようにはならないんですね。

書けたとしても、こんな風にならないでしょうか?

「あれ? なんか同じことを3回くり返し書いてる?」

あー、それ・・・経験ありますww
序論と結論が同じになっちゃうんですよ

短く述べたことを詳しく説明して、また短くまとめたら・・・そりゃ同じ内容のくり返しになってしまいますよね。

せめて「序論=問題提起、本論=原因分析、結論=解決策」と理解していればよかったんですが。

「序論」とか「本論」とかは、あくまでも「箱」。箱の中身を理解しておかないと、空っぽの文章になってしまいます。

「最初にイエス/ノー」が求められるのは入試問題の25%だけ

「小論文は最初にイエス/ノーを書くものだ」なんて教えられることもありますが・・・

上の2-2で取り上げた「賛成/反対の立場表明」を求められる出題は限られます。

そもそも小論文には「賛成/反対に分かれるテーマ」と「誰が見ても問題であるテーマ」があります。入試全体では半分半分です。

全体の50%である「賛成/反対に分かれるテーマ」のうち、「あなたの立場を表明した上で」という条件がつくものは、さらに半分。

つまり「最初にイエス/ノー」を求められる出題は25%しかないんです。

それ以外の75%の出題で「私は反対だ」から書き始めたら、「一方的で偏った議論をする人」とみなされてしまいそうですね!

「結論から書く」は内容が薄くなりがち

「結論から書く」というのは、ビジネス文書のルールです。ビジネスマンは忙しいので手っ取り早く結論を知りたいんです。

でも大学入試の小論文を読むのビジネスマンではなく採点者=大学教授=教育者です。手っ取り早い結論より、結論に至るプロセスをじっくり読みたい人たちです。

なので高校生は「結論から」という形にこだわる必要はありません。

それに、高校生が小論文で「結論を最初に」という書き方をすると・・・内容が薄くなりがちです。

問題提起と原因分析というプロセスを飛ばして、いきなりポンと結論を出してしまうので。

結論から書くという形式が悪いというより、内容が浅くなるからおすすめしないんですね。

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まとめ

①誰が見ても問題であるテーマでは「問題提起→原因→解決策」

②賛成/反対に世論が分かれるテーマでは「メリット→デメリット→解決策」

③「賛成か反対かを表明した上で」と条件がついていたら「自分の立場→逆の立場→解決策」

段落を正しく分けて書くことで、考えが途中でブレることも防げそうですね。
「いつでも◯◯から書く」ではなく、テーマや設問に合わせて段落構成を使い分けることが大事なんですね」

設問が問1、問2と分かれている場合の書き方は、また別の記事で。

お楽しみに!

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